株式会社シーザートレーディング
TEL.042-480-2222 (営業時間10:00~20:00)
東京都調布市西つつじヶ丘1-58-12
MAKER | ROLLS・ROYCE |
MODEL | SILVER・CLOUD V |
YEAR | 1965’ |
EXTERIOR | BLACK (ソリッド・ブラック) |
INTERIOR | BLACK・LEATHER (ブラック・レザー) |
PRICE \ | ASK |
MILEAGE | 並行車のため、あえて不明 |
AMMENITIES | 北米仕様 左ハンドル (国内 89’登録) V8 OHV 6.23L 4速コラムAT 全長:538cm 全幅:190cm 全高:161cm 重量:2120kg 定員:6人 装備: ・ パワーステアリング ・ パワーウインド(4枚) ・ クーラー 後付け: ・ 「カロッツェリア」の「CDオーディオ」(純正・当時物 ラジオあり) ・ 「カロッツェリア」の「スピーカー」4個、トランク内 ・ ETC車載器 内外装レストア済み、機関 当社にて完全整備渡し 超極上車! 車検: 2年付き渡し |
COMMENT |
ロールス・ロイス 「シルバー・クラウドV」物語: 1955年~1966年の間に生産された「クラウド」シリーズのファイナル・モデル 「シルバー・クラウドV」である。 「シャーシ・オン・ボディ」伝統的クラシック・ロールス、最後のモデルとなる。 「シルバークラウド」と名が付くモデルは、1955年4月に発表された「クラウド1」 から始まる。 戦後、1949年発売、「シルバードーン」で始まったロールス・ロイス・スタンダード・ サルーンの新型後継モデル。 (ベントレーは、1946年のマーク6から) 「クラウド」とは、「雲」、「煙」などの意味を持つが、「シルバーゴースト」から続く 伝統の幻想的「シルバー・ほにゃらら」シリーズである。 「クラウド」の「シリーズ」を おさらいしておこう。 ボディデザインは、「ジョン・バラッチリー」師匠 1913年・生まれの ロンドンっ子、デザイン工学を学び、1935年、名門コーチビルダー 「ガーニィ・ナッティング」社に入社。 チーフデザイナーにまで のし上がり、1940年、「ロールス社」に移籍。 次々と「名車」を生み出す、、 ・「マーク6」 ・「Rタイプ」 ・「クラウド」1.2.3. ・「シャドウ1」 ・「コーニッシュ」 天才である。 晩年、BMWに買収された「ロールス」社が新作「NEWファンタム」を作る前、 ジョンにデザイン画を数枚持ち、意見を聞きに行ったほど、、 数枚のデザイン画を観た「ジョン」は、後に こう語っている、、 「1枚しか良いものはなかったよ、、 「彼ら(BMW社)が、作ったのが、、それだよ」と。 ボディのプレスは、下請け「プレスド・スティール・カンパニー」に外注。 もちろん、尋常じゃないほど厳格で厳密な指示書のもと、社外秘。 当時の英国には、ロールス社が求めた「精度」を実現できる会社は、ほとんど存在しな かった。 開閉部は全て = 「ドア.4枚」「ボンネット」「トランク」「給油口」 「アルミ」製で、他ボディは、「スティール」製。 これが、「スタンダード・スティール・サルーン」モデルと呼ばれる由縁である。 「クラウド1」は、 1955年〜59年に生産 「シルバードーン」と同じ、直6・4887ccのエンジンを積んだ車ではあったが、 ボディデザインの変更以外にも、機関系には、大幅な改良が加えられロールス社・ 直6モデルの集大成、、しかも、最後の直6エンジンを積んだモデルとなった。 「クラウド1」の生産台数は、「2238台」(+ロングホイール:122台)。 1959年9月、新設計、総アルミ合金製V8・OHV・6230ccエンジンを積んだ 「クラウドU」がデビューする。 この時点からロールス社のエンジンは、このV8 一種類のみとなる。 このV8エンジンこそ、2020年の「ミュルザンヌ」にまで使い続けられることになる伝説的 エンジン! クラウド1と2は、シングルヘッドライトの同じデザインのボディと考えてよいので、 外観上で区別することは難しい。 「クラウドU」の生産台数は、「2418台」(+ロングホイール:299台)。 1962年 10月、パリ・サロン 新型にしてファイナル・クラウド モデル「クラウド3」がデビューする。 エンジンの改良(7%パワーUP)とパワステ・サーボ力向上、外見上でも、デュアル ヘッドライトに変更された(ファンダー形状も異なる)ため、一目で区別できる。 ロールス社は、どのモデルでも毎年のように改良を加える。 で、当個体の「クラウド3」でも、ロールス社的には「8モデル」で分類していた。 「A」「C」「D」「E」「G」「H」「J」「K」の8種類。 どのモデルも「少し」改良されているのであるが、今となっては、入手できるパーツは、 最終物改良版なので、どれも同じと思っていただいてよい。 で、「クラウド2」との違いを ざっと ・ 強化クランク・シャフトに ・ グリルは、2より、3.8cm低くなった ・ 63年11月より、「リアウインドにデフロッサー」 ・ 64年1月より、「フロント・シート」デザイン若干変更で広くなった。 「クラウドV」に至っても、エンジン出力などのスペックは非公開で「必要にして十分」 としか説明されていない。 カタログには、十分という意味の「ENOUGH」と書かれていたが、洋書によっては、 馬力を220ps/4500rpmと明記しているものもある。 それは、馬力課税を採用していた一部の国向けのためだと思われる。 当時の英国の有名カー雑誌「AUTOCAR」などのテスト計測によると、最高速度は、 実速で シルバードーン :140km(ATで) クラウド1 :170km クラウドU :185km クラウドV :188.25km となっている。 正に必要にして十分、、実際に乗ってみるとトルク感も満点、、 これだから、ロールスに乗るのに「数字」は必要ない。 「クラウドV」は、1962年から「シルバーシャドウ」デビューの1965年の 僅かな期間にしか作られていない。 つまりは、後継新型モデル「シャドウ」発売までの「つなぎ」モデル、、 そのせいで、販売台数は、 「2555台」(+ロングホイール:254台)のみ。 「クラウドV」は、当時のVIP日常の足用モデル、、多くの個体がボロボロになるまで 乗りまわされた。 ロールスのモデルは、いつの時代も、生産中止後、極上個体が少なくなってから、再評価 されることになる。 おそらく、世界に散らばった「クラウドV」のうち、極上物は、30台に1台くらいしか 残っていないはず、、。 日本人は細かいから、国内でなら、20台に1台くらいは、極上物があるかも、、。 少し前までは、クラウド・シリーズの一番人気は、ダントツ「クラウドV」だった。 それが近年の クラシックカー・ブームの流れで、古いモデル(クラウド1も2も)も 再評価され、極上個体のみは、どのモデルも同じような高評価となった。 「クラウド3」人気の理由は、デュアルヘッドライトのクラウドVのボディデザインが 「ファンタムY」と似ていてカッコイイ・ということ。 写真だけ観ると、倍率が分からないので、「ファンタム6」と「クラウド3」は、極めて 似ている。 人気の秘密は、そのデザインだけではない、、エンジン、機関系が素晴らしく効率よく、 頑丈にできていて「普通」に乗ることができる・ってのも大きい。 正しく整備されていない個体は論外(ほとんどだが、、)ながら、、「普通に乗れる」を 可能にするクラウドVのメカニカルな部分の解説は、最後の章(写真の最後)で、、 当個体の お話: 北米仕様 左ハンドル 1964年11月製造、モデルイヤーは「1965年」として、アメリカで登録。 1989年4月、国内登録。 まさに バブル期、、新車で「クラウドV」を買えた日本人など 一人もいない。 10年後の1999年6月、弊社で仕入れ、仕上げ、販売、 オーナー様は、2008年6月まで、9年間ご所有(ファンタム5の下取りで再入庫)、 この間 全ての整備は弊社担当。 同年8月、再販。 今回は、久しぶりの再入庫となる。 当個体は、99’に弊社が仕入れた時点で、「レストア」が施されていた。 おそらく、西海岸の車屋がフルレストアした直後の個体を、日本に持ち込んだのだろう。 それを、歴代オーナー様方が、手直ししたり、整備しまくったりで、大切に保守、 現在にいたっても、綺麗なまま維持、、 前オーナー様方に 感謝感激の◎個体! 外装は: 「ソリッド・ブラック」 艶々っ 深みのあるロールス・ブラック。 もち、当時のラッカーではなく、ウレタンでオールペイントされているから、今現在、 ほぼほぼクラックも見当たらない。 全長:「538cm」は、SZ系ロング「スパー」や「ターボRL」の95’モデルまでと同じサイズ 背が高いから「161cm」(スパーは、148cm)から、デカく見えるが、そうでもない。 ハンドルも切れるから、乗って困らない。 内装は: 「ブラック」レザー。総張替えされている。 おそらく、輸入されてきた時から、、が、まだまだ キレイすぎて、味もでていない。 ウッドも、リペアされているが、こちらは、そろそろ味が出始めている。いい感じ。 この時代で最後であるが、「バー・ウォールナット」のワイルドな杢目が素晴らしい。 特にリアの「ピクニックテーブル」の虎柄杢は、この後には見られない。 反対に、開いた面(裏)のウッドは、「バー」根っこ部ではなく、柾目部を使い、 ブックマッチ、、富士のごとき、わび さび の世界。 ・「パワステ」は、標準装備品。 ・「パワーウインド」は、オプション装備。 ・「クーラー」も、オプション装備。 後付けは、 ・「カロ」の「CDオーディオ」 ・「カロ」の「スピーカー」、トランク内に4つ、リアトレイから鳴る。音良し。 ・「ETC車載器」 ありがたいのは、この個体 新車時の「ラジオ」ユニットが残されている事。 プラス、前オーナー様が集めてくださった「予備パーツ」の数々も おまけ。 「オーナーズ・マニュアル」、「ワークショップ・マニュアル」、「パーツ・リスト」も おまけ。 この個体、下廻り写真(実車でも)を診ていただくと、その素性の好さが ご理解いただけ るかと、なかなか ない、極上の1台。 バブル期に、「クラウドV」を購入するには度胸が必要(のちの整備が心配)だったが、 今、その心配は無用となった。 パーツは、いくらでも入手できるし、できない修理など無し。 むしろ、この後の「シャドウ」より、遥かに整備は簡単、「メカニカルサーボ・ブレーキ」 以外の整備は「昔は ありきたりのV8・OHV」、当社や専門工場じゃなくても楽勝かと。 さあ、能書きの この辺して(っても、最終章で機関系の解説あり)、 あとは、実車を ご覧いただきたい。 しびれますよ「クラウドV」は、 その前に、まずは、お写真、怒涛の「142」枚を ご参考に↓ *機関系の解説は、一番最後に記載 |
V8 OHV 6747cc 総アルミ合金製エンジン ロールス社のV8エンジンは、1905年にも試作、完成までされているので、これで2番目と なるが、このV8は、まったくの新設計。 アルミ合金製、6230cc OHV、SUツインキャブ、、、 このエンジン、オーナー、もしくはメカニックが、間違った管理、整備で壊さないかぎり、 壊れようがないので、説明は割愛。 なんてったって、2020年まで使い続けるんだから。 生産中止の理由は、当然、「コスト・ダウン」。 ハンドビルドで、熟練工 二人が、80時間も掛けて、組み上げられちゃ、コストが 合いません。無理。 今も「ロールス」は、100%「BMW製」、「ベントレー」は、 100%「VW製」エンジンね。 この「ロールスロイス製」エンジンは、すごいよ~ この時代に 早くも サスの硬さも調整ができる。 ハンドルポスト左脇にスイッチがあり、ノーマルとハイ(高速走行時などで利用)を 切り替えられる。 クラウドのメカニズムで、特筆すべきは、油圧のブレーキ廻りであろう。 4輪ともに、ドラム・ブレーキではあるが、前輪の油圧系パーツは、「ロッキード」製、 後輪パーツには、「ガーリング」製のものが使用されている。 更に、これに、「メカニカル・サーボ・ブレーキ」の機能が加わる。 戦前の名車「イスパノ・スイザ」が特許をもつ、「メカニカル・サーボ」、、、 ロールス社は、1925年の「ファンタム1」から使用している。 国内各所で行なわれているクラシックカー・ラリーやフェスティバルに戦前のロールスが、 まるで普通に参加して走行しているが、それは、このブレーキシステムの恩恵によるところ も大きい。 このシステムは、エンジンの回転(ドライブシャフトの回転)からパワーを取り出し、 ブレーキの効きを増大(アシスト)するもので、簡単に言ってしまえば、パワーブレーキだ よって、ドライブシャフト回転数が高い(走行速度が速い)ほど、アシスト力は増大する。 シャドウ以降に採用されるシトロエン特許のハイドロとは、まったくシステムが異なる。 私個人の感想だが、ほんの30年ほど前まで、このブレーキシステムを完全に理解していた 日本人メカニックは、極々僅かな人数のみであった。 なにせ、当時は、車屋の名だたる先輩方でさせ、「クラウドのブレーキは、効きが甘くて 怖いのが、普通、、」なんていっていたものだ、、。 これが、バブル景気のお陰で、多くのクラウドを含むクラシックロールスが海外から輸入 され、メカニックも数多くの個体の整備が出来るようになった・・・ お陰で当社でも完全に整備できるようになった。 正しく整備されたクラウドのブレーキは、まったく恐いものではなく、逆に、効きが良く て、安心。 とはいえ、当時の高級車は、すでに「ディスクブレーキ」が主流の時代、 これに対し、ロールス社広報部 曰く: 「ディスクブレーキが、我が社のドラムブレーキと同じくらい、安全で、強力で、確実に きしまない と分かったら、すぐにでも採用しますが、、」 かく云う私も、戦前の「ファンタム1」を所有しているが、これが、今でも普通に乗れ、 普通~にブレーキも効くのだ。 戦後の「クラウド3」モデルのブレーキなど、私にしてみれば、最終進化系もの、不安?っ てなんですか? ご納車時には、メカニカル・サーボのシステムの説明と実際に走行した上で、その特性を 体感していただいておくと、いっそう普通に乗れる。 極めて興味深いブレーキ・システムながら、これを採用されたモデルは「ファンタム6」 以外では、「クラウドV」が最後となった。 当個体、 エンジン・ルームは、レストアされていない。 このあたりのキレイさも、当個体のベース・コンディションの良さを物語っている。 とくかく素性の よくない個体は、いくら金を掛けても 無駄。 世の中には、どうにもならない個体も 普通に売られていたりするが、、それを膨大な 金額をかけてレストアするくらいなら、完成車を買ったほうが遥かに安い。 レストア費用は、1千万円「から」だ。 当個体は、「乗るためのクラウドV」 ・オルタネーター近代物に交換 (直流から交流に) ・ラジエーターに「サブ・タンク」増設 ・大型電動ファン 増設 などなど エンジン・ルーム内をのぞき込めば、一目瞭然。 この個体は、もう35年間も、日本の風土の中で、走り続けてきた。 そして、今回ご購入いただいたオーナー様には、「特典」で、 「元・陛下のメカニックの 遠慮のない怒涛の無料整備」をプレゼント。 これは、この日本では、唯一無二、最高の特典である。 実際に走らせて見る: キーを差し、右へ回し、電源ON、5秒ほど待ち、、この間に燃料ポンプがガソリンを 運んでくる、、 アクセルを2度ほど踏みこんで(エンジンが暖まっている状態では不要)、セルを回す、 キュルキュルと、スターターが遅く回り(クラウド特有)、エンジン始動。 暖機運転大事。 「水温計」の針が、少し動くまで暖気。 大排気量なので、さほどの時間は要さない。 走り出す。 なんという乗り心地の良さ、、 ふわっとしてはいるが、バツグンのボディ剛性のお陰と実際の車重の重さで、どっしりも しておる。 加速も十分 どころか速い。 4速の位置だけで、スタートの段階から、どこでも走れるが、馴れてきたら、発進時と 加速までは、3速が よかろう。 3速で発進して、ちょいとギアを引っ張ったら、4速にシフトUP、、 この走り方をすれば、「クラウドV」が、「速い」車だと理解できる。 ブレーキング時も同じことで、4速から3速にシフトダウンして エンジンブレーキも 併用するのがベスト。 あと、ロールス乗りは、左足ブレーキを覚えるべし。 (理由は、いろいろあるので、、聞いて) 「クラウドV」、普通に走らせているだけで、 それ すなわち、至福。 さあ、今度は、あなたの番、 こうして「至福」は次の代に引き継がれていく。 お次の「一時預かり人」募集~! この お嬢は、100先も 今と変わりない性能で走り続けている、、、 |
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